日本温泉気候物理医学会雑誌
Online ISSN : 1884-3697
Print ISSN : 0029-0343
ISSN-L : 0029-0343
原著
神戸みなと温泉蓮における心身改善の宿泊プログラムの効果検証について
西村 典芳山中 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 84 巻 2 号 p. 75-80

詳細
抄録

  厚生労働大臣認定の温泉利用型健康増進施設「神戸みなと温泉蓮」において,1泊2日のリラクゼーションを主体にした温泉利用型健康増進宿泊型プログラムを開発し,参加者の介入前後で主観的評価と血圧・自律神経の測定から効果を検証し,短期宿泊による参加者の心身改善に貢献できる温泉利用型健康増進宿泊型プログラムの構築を目指した.調査対象者はプログラムに参加した女性31名(年齢53.4±7.3歳,身長158.5±4.9 cm,体重56.3±9.5 kg,BMI 22.4±3.4)とした.プログラムは,ベーシックヨガ・水中運動・ヒーリングヨガ・岩盤ホットヨガ・温泉入浴・ウエルネスウォーキング等を実施した.

  介入前後で,収縮期血圧(121.1±13.9 mmHg and 114.6±13.3 mmHg; p=0.0101)が低下し,拡張期血圧(79.0±16.0 mmHg and 72.8±16.6 mmHg; p=0.0027)も低下した.ccvTPによる自律神経の変化においては,有意な変化が確認されなかった.主観的調査として,チャルダーの疲労調査の総合疲労(3.07±2.29 and 2.11±2.10; p=0.0080)も減少し,その内訳として,身体的疲労(2.37±1.68 and 1.81±1.66; p=0.0487)は減少したが,精神的疲労(0.70±0.94 and 0.30±0.76; p=0.0459)は増加していた.今回のプログラムは,介入1週間後でも身体的疲労低減効果が高く,精神的疲労低減効果については,プログラムの改善の必要性があると考えられる.今回短期的には,自律神経の変化が確認されなかったが,チャルダーの疲労調査の総合疲労の改善から,長期滞在に対する自律神経改善の可能性が考えられる.しかしながら,この効果については,さらなる調査が必要と思われる.

著者関連情報
© 2021 日本温泉気候物理医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top