日本温泉気候物理医学会雑誌
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低周波鍼通電刺激のヒト眼底血流への影響
安野 富美子會川 義寛坂井 友実矢野 忠
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2004 年 67 巻 4 号 p. 225-236

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抄録

鍼通電刺激がヒト眼底組織循環へ及ぼす影響について、11例の全身的疾患および眼科的疾患を有さない、健康成人ボランティア (男性6例、女性5例、平均年齢31.5±5.7歳) を対象に検討した。各対象者については、無刺激対照実験と鍼通電刺激実験の二通りの実験を日を変えて行った。眼底組織循環の指標としてNB値を、その関連指標として眼圧、血圧、心拍数を用いた。NB値については、レーザースペックル法を用いて、黄斑部と視神経乳頭の間の目に見える血管を避けた部位 (脈絡膜) で測定した。鍼通電刺激は、天柱と風池、肩井と曲垣を結び、1Hzで軽度の筋収縮が生ずる程度の強度で15分間行った。上記の各指標は、鍼通電刺激の前、および刺激終了0 (直後)、5、10、15分後に測定した。対照実験は、鍼通電刺激実験の測定と同様とした。その結果、NB値は鍼通電刺激群の刺激側 (右眼) で対照群に比して有意な増加がみられたが、非刺激側では有意な変化はみられなかった。なお、眼圧、眼灌流圧、血圧には有意な変化はみられなかった。NB値が脈絡膜血流量と高い相関性を示すことを踏まえると、今回の結果は、鍼通電刺激が刺激側の脈絡膜血流量を増加させることを示唆するものである。

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