音声研究
Online ISSN : 2189-5961
Print ISSN : 1342-8675
特集「調音音声学: 日本語を中心に」
日本語有声・無声阻害音における舌・口蓋接触面積の差異(<特集>調音音声学 : 日本語を中心に)
Alexei KOCHETOV
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 18 巻 2 号 p. 63-76

詳細
抄録

本論文は日本語の有声・無声阻害音の声道調節の特徴を64電極の電気的口蓋図によって解析した結果を示す。5名の研究協力者に種々の母音間で有声または無声の閉鎖音や摩擦音を発音してもらい電気的口蓋図を観測し解析した。その結果,調音点や調音様式が共通でも有声・無声子音間には体系的でかつ閉鎖音と摩擦音で異なる傾向が観測された。閉鎖音の場合,舌・口蓋接触面積は有声音の方が無声音より小さかったものの,摩擦音では逆に有声音の方が接触面積は広く中央の声道溝が狭かった。このような結果は他の言語での知見と一致しており,有声・無声対立に関わる声道調節機序が閉鎖音と摩擦音では異なるためと考えられる。

著者関連情報
© 2014 日本音声学会
前の記事 次の記事
feedback
Top