学習者の発音に対する教師の訂正行動を見直し,適切な評価のために考慮すべき要因を明らかにする目的で,日本語教師44名を対象に発音評価調査を行った。その結果,次のことが明らかになった。(1)訂正行動の適切さを測る指標として,「正確さ」は発音に問題があるかどうか,「感じのよさ」は発音が否定的に評価されるかどうか,「自然さ」は発音を直すべきかどうかに用いることができる,(2)上昇調の長さの違いは評価にあまり影響しないが,平坦調や下降調を上昇調にしたものの上昇が長くなると否定的に評価される,(3)「指導不要」に含まれる質問項目に高い評定値を付けた教師は,不適切な音調でも否定的に評価せず,訂正もしない。一方,「指導必要」に含まれる質問項目に高い評定値を付けた教師は,評価と訂正を分けて行動している。