2016 年 53 巻 p. 57-65
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災は東北沿岸部を中心に津波による被害が甚大であり、多くの犠牲者を出した未曾有の大災害であった。 災害時に要介護者にとっての有益な存在として、倫理観と実践能力を備えた介護福祉士が求められるが、そのような力を習得できるような介護福祉士養成教育が今後重要となる。そのため、学生の災害への意識形成を図ることを目的に、岩手県沿岸部の被災地域の高齢者施設において防災現地研修を実施した。研修終了後の学生の学びから今後の介護福祉士養成における災害教育のあり方を検討した。それにより被災地における研修が災害教育においては有効であるが、さらなる学びにつながるためには学生自身が学びをアウトプットすること、また、学生の心情を理解し、教員による支持的な関わりが重要であると示唆された。