帯広大谷短期大学紀要
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食肉の脂質に関する研究 その3
各種食肉の脂質組成について
池添 博彦藤野 安彦
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1972 年 9 巻 p. A59-A67

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抄録
1.牛,馬,豚,羊,鶏および鯨のそれぞれ上肉を用いて,その脂質の種類ならびに脂肪酸組成を調べた。2.極性脂質は,鶏肉と鯨肉に多く,羊肉ではかなり少なかった。3.非極性脂質としては,どの食肉でもトリグリセリドが一番多く,次いで遊離脂肪酸,ステロールの順であった。遊離脂肪酸は,豚肉と鯨肉に比較的多かった。4.極性脂質としては,どの食肉でもホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンが主で,その他に,ジゾホスファチジルエタノールアミン,スフィソゴミエリン,リゾホスファチジルコリン,セレブロシドなどの存在も認められた。5.構成脂肪酸は,牛,馬,豚,羊および鶏肉では,オレイン酸,パルミチン酸,ステアリソ酸,ジノール酸およびパルミトレイン酸が主なもので,特に馬肉ではパルミトレイン酸が,鶏肉にはリノール酸が多く存在した。鯨肉では,C14:0, C16:0, C18:1, C20:1およびC21:4が主な脂肪酸であった。6.どの食肉でも,不飽和酸の方が飽和酸よりも多かったが,鶏肉と鯨肉では特にその傾向が強かった。不飽和酸の大部分はモノエン酸であったがド鯨肉ではかなりの量のポリエン酸が含まれていた。
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© 1972 帯広大谷短期大学
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