抄録
本研究では、幼児期の運動遊びと小学校段階の体育科を円滑に接続するため、幼児を対象に絵本を活用した運動遊びの指導を展開し、活動中の活動記録分析、指導分析、保護者への質問紙調査から第1回目と第2回目の実践を比較検証した。期間記録分析の比較では、第1回目の実践における絵本の読み聞かせと運動遊びの割合が同程度(全体の約30%)であった。また、『小学校学習指導要領』への接続を前提とした第2回目の実践では、絵本の読み聞かせの割合が全体の約15%、運動遊びの割合が全体の約45%強であった。これらの割合は、先行事例がない絵本の読み聞かせと運動遊びを主活動とした実践にとって好個な参考値であった。さらに、相互作用行動分析の比較においては、具体的FB、一般的FB、発問のいずれの発問回数も第2回目においての増加が見られた。また、保護者への質問紙調査結果からは、すべての参加幼児において表情尺度の笑顔度は40%を下回ることはなく、笑顔度100%との回答も得られた。以上のことから、参加幼児は絵本を用いた運動遊びの実践を好意的に捉えており、楽しさを味わいながら参加していたと考えられる。