耳鼻咽喉科展望
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臨床
最近の中耳結核症例の検討
小島 博己山本 和央力武 正浩山口 展正田中 康広
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2008 年 51 巻 1 号 p. 33-42

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抄録

中耳結核の臨床症状は近年, 従来考えられていた古典的な症状から変遷してきている。このためしばしば中耳結核の診断と治療が遅れることが問題となり, 最近の臨床症状を把握し, 早期に診断をすることは重要である。東京慈恵会医科大学附属病院で過去6年間に経験した7例の中耳結核症例の臨床所見を解析した。平均年齢は31.6歳で女性が多かった。耳漏と中等度の難聴を呈した症例が多く, 壊死状の鼓膜と単発性穿孔が認められた。多発性穿孔をおこしたものはなかった。5例に活動性肺結核を, 3例に上咽頭結核を合併しており, ごく初期には滲出性中耳炎を経て発症した例が認められた。耳漏の塗抹・培養検査での診断率は低かったが, 中耳または上咽頭の肉芽組織の病理組織検査での診断率は高かった。側頭骨CTの所見では比較的含気化は良好で鼓室から乳突蜂巣全体のびまん性陰影を認めたが, 骨破壊を伴ったものはなかった。

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© 2008 耳鼻咽喉科展望会
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