2008 年 51 巻 2 号 p. 99-103
好酸球性副鼻腔炎の治療中に多発性単神経炎症状を呈し, Churg-Strauss症候群と診断した症例を経験したので報告する。症例は67歳男性である。1ヵ月続く咳嗽と後鼻漏のため当院を受診し, 鼻内に多発性ポリープを認めた。保存的治療では改善がなく内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行したが約1ヵ月で鼻内ポリープの再発を認め, 好酸球性副鼻腔炎として外来治療を行っていた。手術約1年後に突然背部のしびれと視野狭窄が生じた。血液学的, 神経学的にChurg-Strauss症候群と診断しステロイドパルス療法が施行された。治療後は副鼻腔炎も著明に改善した。近年, 好酸球性副鼻腔炎の範疇にChurg-Strauss症候群を含める概念が提唱されており, 治療経過中に血管炎症状が出現した際には早期の全身精査が必要と考えられる。