抄録
上顎洞内に突出した含歯性嚢胞の1症例を経験したので報告する。症例は45歳女性, 左頬部痛を主訴に前医を受診した。副鼻腔CTで埋伏歯を含んだ片側性上顎洞陰影を指摘され, 精査加療目的で当科紹介となった。CT所見より含歯性嚢胞と診断し, 内視鏡下鼻内手術を施行した。上顎洞膜様部と下鼻道に作成した対孔より嚢胞と歯牙を摘出した。病理組織検査でも, 含歯性嚢胞と診断された。
含歯性嚢胞の手術治療としては外切開でのアプローチが一般的であるが, 症例によっては内視鏡下鼻内的に摘出しえると考えた。本症例はまだ術後5ヵ月であり, 現在まで経過は良好であるが, 今後も慎重な観察が必要と思われる。