耳鼻咽喉科展望
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52 巻, 2 号
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カラーアトラス
綜説
研究
  • 榎本 仁司
    2009 年 52 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    ブロー液の乾燥残存物 (乾固物) の成分は, 分析の結果, 酢酸アルミニウムと硫酸カルシウム (石膏の主成分) であることが判明した。また, ディスク拡散法におけるブロー液の阻止円中心部に析出物が見られ, この析出物は偏光顕微鏡による観察で乾固物との共通点が多く, 酢酸アルミニウムと硫酸カルシウムであると判断された。そしてこれらの事実から阻止円の析出領域は酢酸アルミニウムと余剰の酢酸の二重の殺菌作用によるもの, 非析出領域は余剰酢酸単独の殺菌作用によるものと推測された。したがって, in vivoにおけるブロー液の優れた殺菌作用は, 酢酸アルミニウム単独ではなく, 余剰の酢酸との共同作用によるものであると考えられる。
    また, ブロー液により治療中の患者の鼓室内に硫酸カルシウムと思われる結晶の析出が証明された。
    さらに, 保存中見られる綿状の析出物は水酸化アルミニウムであることが同定された。
臨床
  • 宮本 直哉, 鈴木 元彦, 村上 信五
    2009 年 52 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    15員環マクロライド系抗菌薬azithromycin (AZM) は, 血中よりも扁桃や副鼻腔などの組織へ特異的に移行し, 1日1回3日間という短期間の服薬で約7日間臨床効果が持続する経口抗菌薬である。
    そこで本稿では, セフェム系抗菌薬の治療に抵抗する小児副鼻腔炎に対する二次治療薬としてのazithromycinの臨床効果について検討した。
    前治療としてセフェム系抗菌薬 (cefcapene pivoxil (CFPN-PI) またはcefditoren pivoxil (CDTR-PI)) を常用量, 3~4日間投与した。そして無効またはやや有効と判定された症例に対し, azithromycinを10mg/kg 1日1回3日間投与して, その臨床効果および安全性を検討した。また併用薬としてcarbocisteine 30mg/kgを前治療開始日からazithromycin投与開始7日目まで投与した。
    解析対象41例中, 著効12例, 有効16例, やや有効5例, 無効8例であり, 有効以上を有効とした有効率は68.3%であった。とくにインフルエンザ菌感染症に対して優れた効果を示した。
    安全性に関しては, 特に臨床上問題となる症例はなかった。
    本試験より, azithromycinは難治性小児副鼻腔炎に対し有用性の高い薬剤であることが示唆された。
  • 長岡 真人, 浅香 大也, 鴻 信義
    2009 年 52 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    上顎洞内に突出した含歯性嚢胞の1症例を経験したので報告する。症例は45歳女性, 左頬部痛を主訴に前医を受診した。副鼻腔CTで埋伏歯を含んだ片側性上顎洞陰影を指摘され, 精査加療目的で当科紹介となった。CT所見より含歯性嚢胞と診断し, 内視鏡下鼻内手術を施行した。上顎洞膜様部と下鼻道に作成した対孔より嚢胞と歯牙を摘出した。病理組織検査でも, 含歯性嚢胞と診断された。
    含歯性嚢胞の手術治療としては外切開でのアプローチが一般的であるが, 症例によっては内視鏡下鼻内的に摘出しえると考えた。本症例はまだ術後5ヵ月であり, 現在まで経過は良好であるが, 今後も慎重な観察が必要と思われる。
  • 門田 哲弥, 森 智昭, 小野 智裕, 古矢 彩子, 嶋根 俊和, 寺尾 元, 三邉 武幸
    2009 年 52 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    副神経由来の神経鞘腫の発生部位は, 頭蓋内, 頸部脊柱管内, 頸部に大きく分けることができる。今回我々は頸部副神経由来の神経鞘腫を経験したので報告する。本症例は47歳女性で右頸部腫瘤を主訴に紹介受診した。神経鞘腫を鑑別に挙げ全身麻酔下で手術を行った。右胸鎖乳突筋の内側に腫瘍を認め副神経と連続しているのを確認し, また神経刺激器で僧帽筋の収縮も確認した。顕微鏡下で被膜間摘出術を施行し, 迅速病理にて良性神経鞘腫と診断した。術後には僧帽筋, 胸鎖乳突筋の筋力低下のため肩の挙上障害を認めたが徐々に症状は改善していった。
境界領域
  • —小脳橋角部腫瘍, 聴神経腫瘍に対する神経機能温存手術—
    中冨 浩文, 宮崎 日出海
    2009 年 52 巻 2 号 p. 96-104
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    小脳橋角部周辺の頭蓋底病変は, その病変の主座と隣接する脳神経の種類から, 傍三叉神経領域, 傍聴神経 (蝸牛神経) 領域, 傍嚥下神経領域の3つに分類できる。これらの3領域にそれぞれ最も適切な頭蓋底手術アプローチが2つずつあり, これらの6つの基本アプローチを組み合わせることで, すべての小脳橋角部周辺の頭蓋底外科手術のための術野が得られる。脳幹と頭蓋底を結ぶ脳神経は, 過度のストレス損傷を一定時間に一定以上受けると再生しない。我々は神経機能を最大限に維持するために, 術中に持続神経機能モニタリングを併用した神経機能温存手術をチームアプローチによって行っている。安全で確実なアプローチと, 信頼度の高い術中モニタリングを使用することにより, これまでの小脳橋角部周辺の頭蓋底手術において, 恒久的な脳神経麻痺, 手足の麻痺はほとんど経験していない。
画像診断
薬剤の特徴と注意点
学会関係【第4回 頭頸部表在癌研究会】
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