抄録
アレルギー性鼻炎は近年増加傾向にある。様々な治療があるが根治は困難でありQOLの向上が治療の目標となっている。くしゃみ, 水様性鼻漏, 鼻閉のうち鼻閉がもっとも治療に難渋することが多い。
今回鼻閉を主訴に当科を受診したアレルギー性鼻炎, 血管運動性鼻炎患者のうち, 副鼻腔炎の合併や鼻中隔の彎曲がほぼないか, 軽度である症例に対し両側下鼻甲介粘膜下高周波電気凝固術を当院の外来日帰り手術センターで施行した。術後12ヵ月以上経過を観察し得た15症例 (12ヵ月から2年2ヵ月: 平均1年4ヵ月) に対して検討を行った。その内訳は男性10名, 女性5名で, 年齢は24歳から71歳で平均45.3歳であった。アレルギー性鼻炎が10例 (通年性4例, 季節性1例, 両者の混合5例), 血管運動性鼻炎が5例であった。機器はCelonENT (オリンパス社製) バイポーラ電源装置システム® を使用した。
自覚症状の評価は日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票 (JRQLQ No1) を用いた。他覚的所見については鼻アレルギーの診療ガイドラインに従い内視鏡を使用して下鼻甲介粘膜腫脹を評価した。自覚症状はくしゃみ, 水様性鼻漏, 鼻閉でそのうちの鼻閉に対しもっとも効果を認めた。他覚所見は鼻内所見において有意差を認めた。