耳鼻咽喉科展望
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52 巻 , 3 号
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カラーアトラス
綜説
  • —基礎と臨床—
    市村 恵一
    2009 年 52 巻 3 号 p. 138-152
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    オスラー病 (遺伝性出血性末梢血管拡張症) は常染色体性優性遺伝をする全身の粘膜, 皮膚, 内臓, 中枢神経などの血管奇形病変である。罹患頻度は以前に考えられていたほど稀ではなく, 5~8千人に1人といわれる。オスラー病の多くは第9染色体でのendoglin遺伝子変異による1型と, 第12染色体のALK-1遺伝子変異による2型とに分かれる。鼻出血の程度は様々で, 軽症例が多く, 入院や輸血を必要とする例は1/3といわれる。Curaçao criteriaとして4項目が診断基準に採用されており, 3項目以上該当で確定診断になる。
    従来さまざまな治療法が提案されてきたが, 症状の程度は患者毎に異なるので治療法は一律には選択できない。レーザー治療は有効期間が短いが, 操作が容易なので, 数ヵ月毎に反復することとし, 軽症例や皮膚置換術後の血管拡張に用いる。鼻粘膜皮膚置換術は鼻腔前半部の粘膜を移植皮膚で置換する方法で, 鼻腔全部を置換するわけではないので, 出血は完全には停止しないが, 出血部位の多くを占める前部が置換されるので, 出血頻度・程度は激減し, 施行価値のある手術である。さらに重症例では外鼻孔閉鎖術が適応となる。
臨床
  • 小島 純也, 吉村 剛, 浅香 大也, 飯田 誠, 鴻 信義
    2009 年 52 巻 3 号 p. 153-158
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎は近年増加傾向にある。様々な治療があるが根治は困難でありQOLの向上が治療の目標となっている。くしゃみ, 水様性鼻漏, 鼻閉のうち鼻閉がもっとも治療に難渋することが多い。
    今回鼻閉を主訴に当科を受診したアレルギー性鼻炎, 血管運動性鼻炎患者のうち, 副鼻腔炎の合併や鼻中隔の彎曲がほぼないか, 軽度である症例に対し両側下鼻甲介粘膜下高周波電気凝固術を当院の外来日帰り手術センターで施行した。術後12ヵ月以上経過を観察し得た15症例 (12ヵ月から2年2ヵ月: 平均1年4ヵ月) に対して検討を行った。その内訳は男性10名, 女性5名で, 年齢は24歳から71歳で平均45.3歳であった。アレルギー性鼻炎が10例 (通年性4例, 季節性1例, 両者の混合5例), 血管運動性鼻炎が5例であった。機器はCelonENT (オリンパス社製) バイポーラ電源装置システム® を使用した。
    自覚症状の評価は日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票 (JRQLQ No1) を用いた。他覚的所見については鼻アレルギーの診療ガイドラインに従い内視鏡を使用して下鼻甲介粘膜腫脹を評価した。自覚症状はくしゃみ, 水様性鼻漏, 鼻閉でそのうちの鼻閉に対しもっとも効果を認めた。他覚所見は鼻内所見において有意差を認めた。
  • 小森 学, 関山 尚美, 露無 松里, 飯村 慈朗, 重田 泰史, 宇井 直也, 波多野 篤
    2009 年 52 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    当科における2007年度 (2007年4月~2008年3月) の時間外救急の現状について臨床的検討を行った。受診した患者数は全体で1,033人であり, 内248人が救急車にて受診した。受診時の疾患名に関しては急性中耳炎, 鼻出血, 異物の順に多く, その内救急車を利用した受診者においては鼻出血, 異物, めまいが多く見られた。患者の年齢に関しては10歳未満が最も多く, 救急車利用率については高齢者になるほど高かった。今回の検討では深夜から早朝にかけての成人受診者数の増加, 救急車利用率の増加が示唆された。
    今後の課題としては, 家庭での救急対応法, 救急搬送トリアージ, 救急相談センターなどについての啓蒙活動をして時間外救急の現状を理解してもらうことが必要であると考える。その上で各病院での現状を把握し, 効率的な救急体制を築いていくことが望まれる。
  • 池田 このみ, 鴻 信義, 青木 謙祐, 加藤 孝邦, 溝呂木 紀仁
    2009 年 52 巻 3 号 p. 166-171
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    若年性血管線維腫に対する手術療法は, 術中出血の多さや再発の危険性から, 従来外鼻切開法や経上顎洞法, 経口蓋法が選択されてきた。今回我々は内視鏡下経鼻内的に摘出し得た1例を経験した。症例は18歳男性, 中学生の頃から鼻出血と鼻閉を反復していた。他院にて右上顎洞から両側蝶形骨洞へと進展する若年性血管線維腫と診断され当科を紹介された。術前の動脈造影にて腫瘍の主な栄養血管は外頸動脈と考えられたが, 内頸動脈の枝も栄養血管である可能性があり, 術中に内視鏡下経鼻内的に翼口蓋窩で顎動脈にクリップをかけ出血をコントロールした。鼻中隔後方3分の1を切除し, 両側鼻腔から鉗子操作するための十分な空間と視野を確保した。腫瘍は蝶形骨洞自然口近傍の蝶口蓋動脈より発生しており, 翼口蓋窩へ突出していた。また, 蝶形骨洞天蓋部には腫瘍の圧排による骨欠損を認めたが, ナビゲーションシステムを用い, 術野のオリエンテーションを確認しながら円滑に腫瘍を全摘出できた。
手技工夫
  • —アングルワイダー® 使用経験—
    西嶌 嘉容, 矢部 多加夫, 平石 光俊, 望月 義也
    2009 年 52 巻 3 号 p. 172-175
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    扁桃摘出術は我が国では耳鼻咽喉科における入院手術として最多の術式である。扁桃摘出術の副損傷として術後出血, 歯牙損傷, 口角口唇熱傷・裂傷などが挙げられる。口角口唇熱傷・裂傷はバイポーラ電気凝固器による熱傷, 結紮止血時の結紮糸・手術操作の機械的損傷による裂傷などで生じ, 生命に関わる重篤な合併症ではないが術後の瘢痕疼痛, 不快感などとして認められる。今回我々は扁桃摘出時口角口唇熱傷裂傷の予防手段として開口器アングルワイダー® 使用の有効性について検討したところ良好な臨床使用成績が得られたので報告する。
境界領域
  • 長谷川 安都佐, 溝江 純悦, 神宮 啓一
    2009 年 52 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    1997年4月から2007年2月まで炭素イオン線治療を行った, 頭蓋底浸潤を認める93例について報告する。93例の内訳は, 男性51例, 女性42例, 年齢は23~78歳 (平均55.4歳) であった。病理組織別では, 腺様嚢胞癌43例, 悪性黒色腫23例, 腺癌22例, その他5例であった。正常組織反応は, 早期有害事象では, Grade 3の皮膚および粘膜反応がそれぞれ4%と10%に見られたが, 遅発性有害事象では, 皮膚および粘膜反応はGrade 2以下であった。また, それ以外の重篤な副作用は発生していない。
    93例の5年局所制御率は73%, 5年累積生存率は39%であり, これまで光子線による放射線治療で制御困難であった局所進行型非扁平上皮癌に対して, 良好な治療効果が得られている。
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薬剤の特徴と注意点
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