2010 年 53 巻 1 号 p. 8-16
耳鼻咽喉科領域は, 呼吸器の最前線に位置し, 侵入する病原微生物・アレルゲンなどと生体が初めて接する部位であり, 感染症の好発部位となっている。よって我々耳鼻咽喉科医は日々の臨床において, 鼻副鼻腔炎, 扁桃炎など上気道の感染症や類縁疾患である中耳炎にしばしば遭遇している。
本稿では, 日本耳鼻咽喉科感染症研究会がこれまで行ってきた主要感染症の全国サーベイランスの成績を参考として, 推定起炎菌を述べ, 近年問題となっている耐性菌につき考察し, ウイルス感染症では2次感染予防目的であってもできる限り抗菌薬を使用しないようにすることや細菌検査により耐性菌等を確実に把握し, もっとも有効な抗菌薬を選択するなど抗菌薬の適正使用につき概要を述べた。