耳鼻咽喉科展望
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臨床
頭痛にて発症した浸潤型副鼻腔真菌症の1症例
新井 千昭飯村 慈朗安藤 裕史小森 学露無 松里重田 泰史波多野 篤
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2010 年 53 巻 3 号 p. 166-172

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抄録
副鼻腔真菌症は眼窩から頭蓋内へと浸潤傾向を示しときに致死的となるため, 早期の診断加療が重要とされる疾患である。この度, 頭痛を契機に発症し不幸な転帰を取った浸潤型副鼻腔真菌症の1症例を経験したので報告する。
症例は糖尿病の既往のある85歳の女性である。頭痛を主訴に当院救急外来を受診したが, 明らかな異常を認めなかった。その後, 右眼痛, 眼球運動障害, 視力低下も出現したため内科へ入院となり, CT, MRIで蝶形骨洞から眼窩尖端部さらには海綿静脈洞にいたる浸潤陰影を認めたため当科紹介となった。内視鏡下鼻内副鼻腔手術にて生検術を施行したところ, 生検組織から浮腫状粘膜内に浸潤する菌糸を認め, アスペルギルスによる浸潤型副鼻腔真菌症と診断された。術後から抗真菌剤投与を行うも, 病変の制御が困難であり術後21日に永眠された。
原因不明の頭痛や視器症状を呈する場合は, 副鼻腔真菌症も念頭においたうえで画像検査を行い, 積極的に生検術を併用することで早期に確定診断をつけ, 早期治療を行うことが重要であると再認識した。また, 浸潤型副鼻腔真菌症の画像診断においてMRIの有用性も確認した。
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© 2010 耳鼻咽喉科展望会
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