耳鼻咽喉科展望
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53 巻 , 3 号
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カラーアトラス
綜説
  • 柳 清
    2010 年 53 巻 3 号 p. 160-165
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    視神経管開放術は顔面や頭部の外傷, 眼窩内の腫瘍性病変, または眼窩内の炎症性病変により視神経が圧迫され視力障害が発症した時に視神経の減圧を図る目的で行われる。視神経管に到達するルートは大きく分けて頭蓋ルート, 眼窩ルート, 鼻腔ルートの3つがある。それぞれの方法の欠点として頭蓋ルートは開頭手術になるため手術侵襲が高度である。眼窩ルートは顔面に切開を加えるため, 顔に傷が残る。鼻腔ルートは解剖が複雑で手術視野が狭い点にある。しかし内視鏡を導入することにより, 鼻腔ルートの問題が改善された。鼻腔ルートは, 最も低侵襲で行える術式で患者のメリットは大きい。今回, 現時点における視神経管開放術の問題点を整理したので報告する。
臨床
  • 新井 千昭, 飯村 慈朗, 安藤 裕史, 小森 学, 露無 松里, 重田 泰史, 波多野 篤
    2010 年 53 巻 3 号 p. 166-172
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    副鼻腔真菌症は眼窩から頭蓋内へと浸潤傾向を示しときに致死的となるため, 早期の診断加療が重要とされる疾患である。この度, 頭痛を契機に発症し不幸な転帰を取った浸潤型副鼻腔真菌症の1症例を経験したので報告する。
    症例は糖尿病の既往のある85歳の女性である。頭痛を主訴に当院救急外来を受診したが, 明らかな異常を認めなかった。その後, 右眼痛, 眼球運動障害, 視力低下も出現したため内科へ入院となり, CT, MRIで蝶形骨洞から眼窩尖端部さらには海綿静脈洞にいたる浸潤陰影を認めたため当科紹介となった。内視鏡下鼻内副鼻腔手術にて生検術を施行したところ, 生検組織から浮腫状粘膜内に浸潤する菌糸を認め, アスペルギルスによる浸潤型副鼻腔真菌症と診断された。術後から抗真菌剤投与を行うも, 病変の制御が困難であり術後21日に永眠された。
    原因不明の頭痛や視器症状を呈する場合は, 副鼻腔真菌症も念頭においたうえで画像検査を行い, 積極的に生検術を併用することで早期に確定診断をつけ, 早期治療を行うことが重要であると再認識した。また, 浸潤型副鼻腔真菌症の画像診断においてMRIの有用性も確認した。
  • 市山 紗弥香, 飯野 孝, 谷口 雄一郎, 小島 博己, 加藤 孝邦
    2010 年 53 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    耳下腺良性腫瘍は, 通常数cmの腫瘍が多いが, 中には巨大な腫瘍も報告されている。今回過去の報告の中でも一段と巨大な耳下腺多形腺腫症例を経験したため報告する。症例は50歳女性で, 10数年前より左頸部腫瘤を自覚するも放置し, 糖尿病性ケトアシドーシスによる意識障害にて救急受診した際に巨大な腫瘍を指摘され当科受診となった。左耳下部を中心に頭部より大きな腫瘤を認め, 顔面神経麻痺は認めなかった。頸部CT, MRIにて腫瘍内に太い血管像を伴う周囲浸潤のない耳下腺より発生する腫瘍を認め, 血管造影検査を施行したところ, 左顔面動脈が栄養血管であり, 腫瘍周囲に比べて内部の血流は乏しいことを確認した。耳下腺由来の良性腫瘍を疑って手術を施行した。腫瘍部分の皮膚を合併切除し, 腫瘍内に入る動脈を結紮すると, 容易に周囲組織から切離可能となり腫瘍が摘出できた。摘出腫瘍の重量は3.75kgであった。術後顔面神経麻痺を認めず, 現在再発を認めていない。
  • 穐吉 亮平, 内水 浩貴, 加藤 孝邦
    2010 年 53 巻 3 号 p. 180-183
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の男性である。1年前から続く嚥下時の咽喉頭異常感を主訴に近医より当院へ紹介され受診した。画像診断上, 頸部食道左側に隣接して空洞性病変を認め, 咽頭食道憩室症 (Zenker憩室) が疑われた。全身麻酔下に憩室切除術を施行した。憩室は, 最大横断径約3.0cmであり, 内部に食物残渣を認めた。現在, 術後9ヵ月経過したが, 自覚症状は改善し経過は良好である。咽喉頭異常感を伴う食道憩室に対し, 手術による切除術は有効であると考えられた。
  • 近藤 貴仁, 河口 幸江, 矢富 正徳, 大塚 康司, 小川 恭生, 鈴木 衞
    2010 年 53 巻 3 号 p. 184-190
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    扁桃病巣感染症が疑われた場合, 扁桃と二次疾患の関連を確認するため, 我々の施設では扁桃誘発試験を行っている。今回, 当科で扁桃病巣感染症を疑い扁桃誘発試験を施行した78症例について検討する。IgA腎症が28例, 掌蹠膿疱症が50例であった。28例が扁桃誘発試験後に両側口蓋扁桃摘出術を施行した。内訳はIgA腎症が18例, 掌蹠膿疱症が10例であった。術後の病巣感染症の改善率, および扁桃誘発試験の結果と術後の改善率の相関性について検討した。結果は, 扁桃誘発試験の陽性率は29%であった。内訳はIgA腎症が39%で, 掌蹠膿疱症が24%であった。観察期間は術後1年と短いが, IgA腎症では約80%の症例で腎機能の改善がみられ, 掌蹠膿疱症では全例において皮疹の改善がみられた。IgA腎症では, 扁桃誘発試験の結果と腎機能改善率との相関性は確認できなかった。掌蹠膿疱症では, 扁桃誘発試験陽性症例のうち67%の症例で扁桃摘出を行い, 全例で皮疹の改善を認めた。
境界領域
  • 大山 健一, 石井 雄道, 田原 重志, 寺本 明
    2010 年 53 巻 3 号 p. 191-198
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    下垂体腺腫の治療戦略のアップデートにつき概説する。下垂体腺腫はホルモン過剰産生による症状にて発症する機能性腺腫と, ホルモン過剰産生がなく主として腫瘍の圧迫症状により発症する非機能性腺腫とに大別される。機能性腺腫には先端巨大症, プロラクチン産生下垂体腺腫, クッシング病, 甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腺腫がある。先端巨大症の治療の第一選択は経蝶形骨洞手術であり, 適宜ドパミン作動薬やソマトスタチンアナログ等の薬物療法あるいは定位放射線治療を行う。プロラクチン産生下垂体腺腫はドパミン作動薬による薬物療法が主体であり, 治療効果も高い。クッシング病は手術による治癒切除が期待できるが, 治療効果が不十分な場合には定位放射線治療も有効である。クッシング病に対する有効な薬物治療はないため, 非治癒例に対しては副腎酵素阻害剤を使用し病態をコントロールする。甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍は稀な腫瘍であり, 甲状腺刺激ホルモン不適切分泌を呈するのが特徴的である。非機能性腺腫は視機能障害を契機に診断されることが多いが, 頭部精査時等に診断される無症候性の下垂体偶発腫も稀ならずある。経蝶形骨洞手術において近年は内視鏡が広く使用されるようになり, 腫瘍摘出度の向上に寄与している。
画像診断
薬剤の特徴と注意点
薬剤関係
  • 上野 員義, 内薗 明裕, 山本 誠
    2010 年 53 巻 3 号 p. 205-210
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/15
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎は粘膜のI型アレルギー疾患であり, 発作性反復性のくしゃみ, 鼻水, 鼻づまりを3主徴とすることはよく知られている。アレルギー性鼻炎は, 通年性アレルギー性鼻炎, スギ花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎に大きく分類され, 日常診療において, これらのアレルギー性鼻炎に対し, 抗ヒスタミン薬, 抗ロイコトリエン薬 (抗LTs薬), 鼻噴霧用ステロイド薬, ケミカルメディエーター遊離抑制薬などの薬剤が使用されている。
    今回我々は, 2009年度のスギ花粉症に対し, 抗LTs薬であるプランルカストを花粉飛散前から投与した初期療法群, 花粉飛散後からプランルカストを投与した飛散後治療群に分類し, 花粉飛散に伴う症状の増悪に及ぼす影響について検討した。結果, プランルカストによる初期療法は, 花粉飛散ピーク時の症状の増悪を抑制し, 第2飛散期のmedication score, 鼻噴霧用ステロイド薬の使用割合を有意に抑制した。また患者の症状, QOLを含めた総合的な状態を反映するフェイススケールにおいても花粉飛散による悪化を有意に抑制した。以上の結果, プランルカストによる初期療法は有用な手段と考えられた。
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