耳鼻咽喉科展望
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臨床
当科における扁桃病巣感染症の検討
近藤 貴仁河口 幸江矢富 正徳大塚 康司小川 恭生鈴木 衞
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2010 年 53 巻 3 号 p. 184-190

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抄録

扁桃病巣感染症が疑われた場合, 扁桃と二次疾患の関連を確認するため, 我々の施設では扁桃誘発試験を行っている。今回, 当科で扁桃病巣感染症を疑い扁桃誘発試験を施行した78症例について検討する。IgA腎症が28例, 掌蹠膿疱症が50例であった。28例が扁桃誘発試験後に両側口蓋扁桃摘出術を施行した。内訳はIgA腎症が18例, 掌蹠膿疱症が10例であった。術後の病巣感染症の改善率, および扁桃誘発試験の結果と術後の改善率の相関性について検討した。結果は, 扁桃誘発試験の陽性率は29%であった。内訳はIgA腎症が39%で, 掌蹠膿疱症が24%であった。観察期間は術後1年と短いが, IgA腎症では約80%の症例で腎機能の改善がみられ, 掌蹠膿疱症では全例において皮疹の改善がみられた。IgA腎症では, 扁桃誘発試験の結果と腎機能改善率との相関性は確認できなかった。掌蹠膿疱症では, 扁桃誘発試験陽性症例のうち67%の症例で扁桃摘出を行い, 全例で皮疹の改善を認めた。

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