耳鼻咽喉科展望
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臨床
術中に頸動脈の修復が必要であった頸動脈小体腫瘍の1例
林 武史森 智昭嶋根 俊和卯月 彩江川 峻哉池田 賢一郎三邉 武幸
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2011 年 54 巻 1 号 p. 24-29

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抄録
頸動脈小体腫瘍は比較的稀な腫瘍であり, 治療法は外科的切除による腫瘍の摘出が第一選択とされている。しかし, その解剖学的特徴から合併症として術中の頸動脈損傷や腫瘍からの出血, 術後神経障害が問題となる。そのため, 安全で正確な手術操作のためには術前画像診断で腫瘍と頸動脈との位置関係を正確に把握することが重要である。また術中の頸動脈操作を行ううえで, 術前の栄養血管塞栓術やBalloon Matas testは有用とされている。今回我々は, 当科で頸動脈小体腫瘍と診断し, 術中に頸動脈からの出血を認めたが, 術前の栄養血管塞栓術, 術中の血管修復術により後遺症を残さず腫瘍を摘出した症例を経験した。本腫瘍は術中・術後とも, 脳梗塞や神経障害など重篤な合併症を起こすことが危惧されるため, 他科との連携も重要であると考えられた。
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