耳鼻咽喉科展望
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筑波大学耳鼻咽喉科 原 晃教授就任十周年記念論文集
内視鏡下経鼻的頭蓋底手術
―当科における方法と工夫―
村下 秀和田渕 経司星野 朝文上前泊 功和田 哲郎阿久津 博義高野 晋吾原 晃
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2013 年 56 巻 Supplement1 号 p. s64-s68

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抄録

近年, 鼻副鼻腔に対して低侵襲であること, 明るく広い視野で術野全体を観察可能であることからトルコ鞍外病変 (斜台部, 海面静脈洞, 前頭蓋底領域) に対して経鼻内視鏡手術が発展しつつある。筑波大学でも平成22年4月より耳鼻咽喉科医と脳神経外科医による経鼻内視鏡下頭蓋底手術を開始した。手術における耳鼻咽喉科医の役割としては手術操作野の確保, 極力斜視鏡操作にならない視野の展開, 術後鼻, 副鼻腔機能の維持が挙げられる。前頭蓋底や海綿静脈洞での手術では斜視鏡下操作となりやすいが, 危険部位での斜視鏡操作は熟練の技術が必要である。そこで当院では極力直視下操作で手術が行えるように, 必要に応じて嗅裂の処理や翼口蓋窩の開放を行い手術操作野の確保を行った。一方, 手術操作野確保目的に, 中鼻甲介や上鼻甲介の切除, 翼突管神経の切除は極力行わない。これは術後の中鼻道の閉塞 (副鼻腔炎の惹起) や嗅覚障害, 流涙を防ぐためである。手術操作野の確保と術後鼻・副鼻腔機能の維持は一見相反することのように思われるが, 内視鏡下副鼻腔手術に長けた耳鼻咽喉科医が脳神経外科医と連携することにより解決し得るものと考える。

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© 2013 耳鼻咽喉科展望会
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