耳鼻咽喉科展望
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筑波大学耳鼻咽喉科 原 晃教授就任十周年記念論文集
口腔悪性腫瘍の臨床統計
芦澤 圭吉村 知倫大原 浩達中山 雅博廣瀬 由紀中馬越 真理子西村 文吾星野 朝文田中 秀峰上前泊 功田渕 経司大久保 英樹和田 哲郎原 晃
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2013 年 56 巻 Supplement1 号 p. s73-s79

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抄録

2001年1月から2010年12月の10年間に筑波大学附属病院で治療された口腔癌の症例62例について治療法と治療成績について検討した。verrucous carcinomaの3例を除いた59例 (95.2%) が扁平上皮癌であり, 治療方針はTNM分類 (UICC第5版, 1997年) に基づいて行った。放射線感受性の低いverrucous carcinomaは手術を第一選択とした。扁平上皮癌のStage I, II症例に対しては舌癌以外は放射線照射で根治を目指すことを基本とし, 舌癌については小線源放射線治療を積極的に使用していた時期もあったが, 徐々に手術に変わってきた。Stage III, IVに対しては術前照射45~46Gyの後手術を行うことを基本方針とした。化学療法は基本的にはStage IIIないしIVの症例で放射線治療との併用で施行した。Kaplan-Meier法による5年粗生存率を扁平上皮癌59症例についてみてみると, Stage Iでは100%, Stage IIでは75.6%, Stage IIIでは37.5%, Stage IVでは40.7%であり, 全体では62.6%であった。

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