耳鼻咽喉科展望
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第36回 日本医用エアロゾル研究会
治療の遷延化した副鼻腔炎症例に対する加圧・振動型ネブライザー療法の治療効果
大木 幹文吉川 衛山口 宗太大久保 はるか石井 祥子櫻井 秀一郎久保田 俊輝大越 俊夫
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2013 年 56 巻 Supplement3 号 p. s185-s189

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抄録
副鼻腔炎に対する局所療法に, 最も効果的な治療法は上顎洞穿刺洗浄法と考えられるが, 最近では局所洗浄が欧米で積極的に行われている。一方エアロゾル療法は古くから日常診療において, その有用性が認められているが, その適応や使用法は必ずしも確立されていない。今回, 片側上顎洞炎で自然口の比較的開大している症例に対して, エアロゾル療法の有益性について検討をした。対象としたのは抗菌薬保存的治療に抵抗を示した, 片側の急性副鼻腔炎5症例である。保存的治療3~4週後,加圧・振動型ネブライザー装置パリ・ジーヌス (パリ・ジャパン株式会社) を自宅に持ち帰らせ, 1日2回ステロイド吸入液を吸入させ, 治療3~4週後にその治療効果を検討した。
局所所見は改善傾向を認め, 4週後の単純XPでも上顎洞陰影の減少が確認された。加圧・振動型ネブライザー装置を用いた症例は少ないものの, 全例軽快傾向を認めた。ネブライザー療法では, 加圧振動を加えることで, 副鼻腔への沈着率が増すといわれる。中鼻道の病変が比較的軽度な片側副鼻腔炎に対して加圧・振動型ネブライザー療法は有益と考えられた。
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© 2013 耳鼻咽喉科展望会
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