耳鼻咽喉科展望
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第36回 日本医用エアロゾル研究会
アンチ・ドーピングを考慮した一般用医薬品第一類に関する検討
羽生 祥子宮崎 智子吉山 友二
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2013 年 56 巻 Supplement3 号 p. s190-s195

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抄録

吸入β2作用薬はドーピング禁止薬物として常時使用禁止として注意を要する。一方, 医療用医薬品と異なり, 消費者が自己判断で購入可能な一般用医薬品にもドーピング陽性成分を含有する医薬品が存在する。競技者のうっかりドーピングを防止するために適切な支援が必須である。
本研究は一般用医薬品第一類によるうっかりドーピングの防止を考慮した販売方法を検討することを目的とした。一般用医薬品第一類104製品を対象として, 一般用医薬品の選択・販売時にドーピング陽性成分を含有するか確認できる一覧表を作成した。また,作成した一覧表に医用エアロゾルに関連する医薬品の有無を検証した。一覧表は商品名, 含有成分, 効能・効果, 用法・用量, 使用上の注意の5項目に加え, ドーピング陽性成分が含有されるか否か, 含有される場合は使用が禁止される期間と理由を明記した。情報源として,2012年度禁止表国際基準及び薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック2011年版を参照した。ドーピング陽性成分を含む製品は21製品で,「常に禁止」される成分が18製品,「競技会時禁止」される成分が3製品に含まれた。上記の一般用医薬品第一類21製品に医用エアロゾルに関連する医薬品は含まれなかった。本研究で作成した一覧表及び情報提供ツールは,薬剤選択においてアンチ・ドーピングを考慮する際の有用なツールとなり得ると考えられる。なお, 一般用医薬品第一類104製品に禁止薬物である糖質コルチコイドを含有する噴霧剤も含まれていたが, 鼻疾患に対する局所使用は禁止されず, TUE: 治療目的使用の適用措置 (Therapeutic Use Examptions) も不要であった。
今回は, 第一類医薬品について検討したが, 幅広く使用される第二類医薬品にもドーピング陽性成分を含有する医薬品が数多くあるため今後の検討を要する。

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