耳鼻咽喉科展望
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臨床
緊張部型真珠腫における進展度分類と術式選択に関する検討
谷口 雄一郎小森 学茂木 雅臣山本 和央中条 恭子鴻 信義小島 博己
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2014 年 57 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

 今回我々は, 日本耳科学会用語委員会報告の「中耳真珠腫進展度分類2010改訂案」に基づき緊張部型真珠腫の初回手術例の病態を分類し, 進展度, 選択術式, 聴力成績, 再発率について検討を行った。対象は2008年1月から2012年4月までの間に当院にて手術を施行した緊張部型中耳真珠腫34耳である。初回手術症例のみを対象とし, 観察期間は術後1年以上とした。 Stage ごとの内訳は Stage I が14耳 (41.2%), Stage II が16耳 (47.1%), Stage III が4耳 (11.8%) であった。伝音再建別の聴力改善成績は I 型が50%, III 型が65.0%, IV 型が25.0%, 全体の成功率は50% (34耳中17耳) であった。術後真珠腫再発率は5.9% (34耳中2耳) で再発の内訳は再形成が1耳, 遺残性1耳であり, 従来の報告と比較して比較的良好な結果であった。これらの結果より, 進展度分類におけるアブミ骨病変の程度, 乳突部の蜂巣発育程度が術後成績の指標に有効であり, 当科で行っている Cartilage tympnoplasty と内視鏡の併用が術後成績の改善に役立つと考えられた。

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