耳鼻咽喉科展望
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綜説
口腔咽頭梅毒
―実地臨床における診断と治療のポイント―
余田 敬子
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2014 年 57 巻 5 号 p. 246-255

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抄録

 梅毒は, 梅毒トレポネーマ (Treponema pallidum) を病原体とする全身性の慢性感染症で, 口腔咽頭の梅毒病変はその特徴的な所見から他の疾患との鑑別は比較的容易で梅毒の診断の契機となりやすい。 梅毒第1期では無痛性の初期硬結または硬性下疳が, 口唇, 扁桃, 舌尖に生じる。 第2期では口角炎や粘膜斑 (乳白斑) が生じ, 痛みや違和感を訴える。 検査には, 梅毒トレポネーマを鏡検する直接法と梅毒血清反応があり, この二つの検査結果から総合的に診断する。 治療には, 天然製剤のベンジルペニシリンベンザチンが最も有効で, 1回400万単位 (入手できない場合にはアモキシシリン1回500mg) を1日3回, PC アレルギーの場合は MINO 100mgを1日2回, 第1期は2~4週間, 第2期は4~8週間, 感染後1年以上または感染時期不明の場合では8~12週間経口投与する。 口腔咽頭梅毒は性交渉を介して相手に感染させる可能性が高い病変であるため, 感染拡大防止のためにも適切な診断治療が重要となる。

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