耳鼻咽喉科展望
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綜説
好酸球性中耳炎の内耳病態
松原 篤高畑 淳子西澤 尚徳工藤 直美
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2015 年 58 巻 5 号 p. 242-248

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抄録
 好酸球性中耳炎は, 難聴とめまいを引き起こすことが知られている。 難聴については, 適切な治療が行われなければ半数程度に骨導聴力が悪化し, 約6%の患者が聾に至ることが明らかとされている。 一方で, めまい感を訴える患者は少ないと考えられてきた。 われわれの調査では, めまい感を訴える患者は40%程度に存在し, めまいの程度は軽度で短時間のものが多く, 難聴, 耳閉感を伴うことが多い。 また, めまいは中耳炎の初期にあっても中耳炎治療により多くは軽快するといった特徴があった。
 筆者らが進めているモデル動物による研究では, 中耳の好酸球性炎症が長くなるほど, 蝸牛の障害も高度になることが示唆されている。 一方, 前庭器の障害はコルチ器障害に比べて軽度な印象があり, 今後も詳細な検討が必要と思われる。
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© 2015 耳鼻咽喉科展望会
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