抄録
副咽頭間隙に発生する腫瘍は全頭頸部腫瘍の約0.5%と稀な疾患であり, その中でも鰓原性嚢胞の報告は少ない。 各種検査を基に鑑別診断が行われ, 複数の治療選択肢の中から症例毎にその方法が決められる。 今回われわれは, 21歳女性の症例を経験したので報告する。 本症例は, 鰓原性嚢胞, 神経鞘腫, 嚢胞性リンパ管腫, 血管リンパ管奇形などを念頭に治療を行うこととなった。 副咽頭間隙腫瘍かつ嚢胞性疾患としての治療方法を選択するが, 腫瘍径, 存在部位, 周囲の重要臓器との関係から, 複数ある治療方法の中から頸部外切開法を選択し腫瘍を摘出した。
副咽頭間隙に発生する腫瘍を取り扱う際には, 本症例のような稀な疾患も念頭に置き, 治療方法を選択しなければならない。