耳鼻咽喉科展望
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臨床
副鼻腔炎手術患者におけるガレノキサシンの組織移行に関する検討
厚見 拓齋藤 弘亮関根 基樹播摩谷 敦岸野 吏志飯田 政弘
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2016 年 59 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

 慢性副鼻腔炎の手術治療施行症例を対象に, メシル酸ガレノキサシン水和物 (GRNX) の手術部位への組織移行について検討した。 2011年6月~2012年1月の期間に,手術治療目的で入院した慢性副鼻腔炎症例の患者9例を対象に検討を行った。手術前に GRNX を7日間経口投与し, 手術当日 GRNX 内服後3時間以内の血中濃度と手術中に採取した組織濃度について比較検討した。 9例全体における GRNX の血中濃度は平均 8.06±4.41μg/mL, 組織濃度は平均 6.98±2.82μg/mL という主要起炎菌の MIC を上回る濃度が移行していた。 GRNX は, 組織移行性の悪い副鼻腔粘膜にも組織移行性が高く, 効果的に抗菌作用を発揮することが予測され, 副鼻腔炎に対する治療薬として有効な抗菌薬であると考えられる。

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