耳鼻咽喉科展望
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臨床
悪性外耳道炎, 頭蓋底骨髄炎の臨床的検討
―本邦における50症例の検討―
田中 志昂森野 常太郎小森 学山本 和央近澤 仁志山本 裕小島 博己
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2016 年 59 巻 4 号 p. 177-183

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抄録

 悪性外耳道炎, 頭蓋底骨髄炎において早期に診断治療を行うことが重要となるが, 明確な診断基準や確立した治療法がないため方針決定に難渋する。 今回われわれは, 様々な病態で発症した悪性外耳道炎, 頭蓋底骨髄炎の自験4例を報告するとともに, 1990年から2015年までに本邦で治療された悪性外耳道炎, 頭蓋底骨髄炎50症例について検討した。
 渉猟の結果, 高齢男性に多く, 糖尿病など易感染性が背景にある傾向を認めた。 近年, 外耳道に所見を認めない非典型的な頭蓋底骨髄炎症例の報告が増えており, その場合再燃率が高いため注意深い症状所見の経過観察と共に, 長期的な抗菌薬の投与が望ましい。 本邦における悪性外耳道炎, 頭蓋底骨髄炎の致死率は約2割と未だ不良であり, 複数の脳神経麻痺がある場合は死亡率が高くなるため, 極めて慎重に対応すべき疾患である。

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