耳鼻咽喉科展望
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インストルメント
汎用デジタルカメラを応用した無線内視鏡ビデオシステム
榊原 昭
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2017 年 60 巻 6 号 p. 286-292

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抄録

 耳鼻咽喉科診療への内視鏡ビデオシステムの導入は, 局所の詳細な観察, 画像の保存が可能になるなど, メリットが多い。 しかし一方では, カメラや光源の導入コスト, 機材の大きさ, 煩雑なケーブルの取り回しなどが欠点となっている。

 モニターや操作用のダイヤルなどを一切省いたユニークなレンズ交換式の汎用デジタルカメラ (Olympus AIR A01®) は小型軽量で, 撮影条件の設定や画像の確認などは, 無線で接続されたスマートフォンやタブレット端末で行うのが特徴である。 これに iPad Pro®, バッテリー LED 光源を組み合わせて, 安価で小型の無線接続内視鏡ビデオシステムを構築し, 鼓膜, 鼻副鼻腔の観察と記録, さらには内視鏡下の処置と小手術に応用して, 2年間にわたってその有用性と安全性について検証した。

 当システムは小型軽量でケーブルが不要でモニターも自由に移動でき, 耳内や鼻副鼻腔の観察と記録のみならず, 内視鏡下の処置や小手術も安全, 確実に行うことが可能であった。 また, リアルタイムで iPad Pro® に表示されるストリーミングビデオ, 記録された画像ともに高品位であった。

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