耳鼻咽喉科展望
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臨床
難聴を呈し加療により良好な経過をたどった内耳梅毒の3症例
大平 真也松浦 賢太郎梶原 理子松井 秀仁古谷 花絵井田 裕太郎和田 弘太
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2018 年 61 巻 4 号 p. 209-215

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抄録

 梅毒感染症は近年急増傾向であり, 2017年の感染者数は44年ぶりに5,000人を上回った。 第7・第8脳神経症状を呈した場合耳鼻咽喉科を受診することが多いが, 時にこれらの症状が梅毒感染症による内耳梅毒として症状を呈していることがある。

 今回われわれは難聴症状を呈し良好な経過をたどった内耳梅毒と考えられる3症例を経験した。 いずれの症例も血清梅毒反応から梅毒感染症の関与を疑い, 髄液検査にて梅毒反応陽性であったため, 内耳梅毒の可能性が高いと判断した。 全症例でペニシリン, ステロイドによる加療で症状の改善を得ることができた。 梅毒感染者の増加に伴い今後内耳梅毒患者の増加も予想される。 難聴症状の改善には早期治療介入が重要であり, 急性感音難聴の診察の際には本疾患も念頭において診療にあたることが今後より一層求められると考える。

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