耳鼻咽喉科展望
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61 巻 , 4 号
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カラーアトラス
綜説
  • 日高 浩史, 小澤 大樹
    2018 年 61 巻 4 号 p. 190-201
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2019/08/15
    ジャーナル フリー

     深頸部膿瘍は, 頭頸部領域の疎性結合組織で形成される間隙に膿瘍を形成したものであり, 早急かつ適切な治療が必要な重症感染症の一つである。

     深頸部膿瘍の治療戦略について, 1) 成人と小児の病態の違い, 2) 診断の手順, 3) システマテックレビューとメタアナリシスにもとづく糖尿病合併による重症化のリスク, 4) 治療方針と副咽頭間隙や咀嚼筋間隙に対する低侵襲アプローチの紹介, 5) 予後と嚥下障害などの合併症のリスク, の5点に焦点をあてて概説する。

臨床
  • 武田 桃子, 森 恵莉, 飯村 慈朗, 浅香 大也, 波多野 篤, 鴻 信義
    2018 年 61 巻 4 号 p. 202-208
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2019/08/15
    ジャーナル フリー

     歯性上顎洞炎に対する, 歯科治療や内視鏡下鼻副鼻腔手術 (Endoscopic Sinus Surgery: ESS) の適応や歯科治療介入時期に関し, 一定の見解は得られていない。 東京慈恵会医科大学附属第三病院において, 平成24年10月から平成26年5月までの20ヵ月間に, 副鼻腔 CT で歯性上顎洞炎と診断した107例を対象に, ESS・歯科治療・14員環系マクロライド薬少量持続投与 (マクロライド療法: ML 療法) 介入の有無等の治療方法, 治療経過を後ろ向きに調査した。 治療内訳としては, ML 療法のみ32例 (29.9%), ESS+ML 療法27例 (25.2%), 歯科治療+ML 療法20例 (18.7%), ESS+歯科治療25例 (23.4%) であった。 ESS + 歯科治療群では有意に改善を認め (76.0%, p=0.017), ML 療法のみでは有意に改善に乏しかった (28.1%, p=0.000)。 ESS + ML 療法では55.6%, 歯科治療+ML 加療では65.0%の改善率であった。 ML 療法のみでは患側凸の鼻中隔弯曲 (p=0.021), 患側 OM C閉塞 (p=0.012), 上顎洞~篩骨洞陰影 (p=0.022), 上顎洞~前頭洞陰影 (p=0.026) を有する場合には有意に改善に乏しかった。

     歯性上顎洞炎は早期に歯科治療介入を促すことで, ML 療法をはじめとした内服加療で症状の改善が期待できる。 しかし, 副鼻腔陰影分布や鼻内所見次第では歯科・耳鼻咽喉科での双方の保存的加療に加え, ESS が必要となる可能性が示唆された。

  • 大平 真也, 松浦 賢太郎, 梶原 理子, 松井 秀仁, 古谷 花絵, 井田 裕太郎, 和田 弘太
    2018 年 61 巻 4 号 p. 209-215
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2019/08/15
    ジャーナル フリー

     梅毒感染症は近年急増傾向であり, 2017年の感染者数は44年ぶりに5,000人を上回った。 第7・第8脳神経症状を呈した場合耳鼻咽喉科を受診することが多いが, 時にこれらの症状が梅毒感染症による内耳梅毒として症状を呈していることがある。

     今回われわれは難聴症状を呈し良好な経過をたどった内耳梅毒と考えられる3症例を経験した。 いずれの症例も血清梅毒反応から梅毒感染症の関与を疑い, 髄液検査にて梅毒反応陽性であったため, 内耳梅毒の可能性が高いと判断した。 全症例でペニシリン, ステロイドによる加療で症状の改善を得ることができた。 梅毒感染者の増加に伴い今後内耳梅毒患者の増加も予想される。 難聴症状の改善には早期治療介入が重要であり, 急性感音難聴の診察の際には本疾患も念頭において診療にあたることが今後より一層求められると考える。

  • 木村 亮平, 結束 寿, 濱 孝憲
    2018 年 61 巻 4 号 p. 216-221
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2019/08/15
    ジャーナル フリー

     今回われわれは, 副咽頭間隙に刺入した歯ブラシ異物を内視鏡下に摘出し得た1例を経験したので報告する。

     57歳男性, 歯ブラシを咥えた状態で転倒し受傷した。 視診では右軟口蓋に裂創を認めるのみであったが歯ブラシの先端が消失していたため, CT 検査を施行した。 副咽頭間隙には脂肪織の混濁と気腫を認めるのみで明らかな異物は確認できなかった。 抗菌薬投与にて経過観察となったが, その後も咽頭痛が改善しなかったため3日後に MRI 検査を施行した。 MRI では副咽頭間隙に歯ブラシ様の dot 状変化を認め, 歯ブラシ異物と診断した。 異物除去を目的に, 全身麻酔下にて内視鏡下での経口的アプローチによる異物摘出術を施行し安全に異物を摘出し得た。

     歯ブラシ異物は単純 X 線検査や CT 検査では描出されないことがあり, 症例によっては MRI 検査を施行する必要があると考えられた。

  • 梶原 理子, 志村 英二, 武田 鉄平, 大平 真也, 松浦 賢太郎, 和田 弘太
    2018 年 61 巻 4 号 p. 222-227
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2019/08/15
    ジャーナル フリー

     今回われわれは, 開放性喉頭外傷にて受傷後嚥下機能をはじめ高度の喉頭機能の低下を認め, 3ヵ月の経過観察期間を経て常食摂取が可能となった1症例を経験した。

     症例は54歳男性で, 前頸部を包丁で自傷した。 胸骨舌骨筋, 甲状舌骨筋, 甲状舌骨膜, 甲状喉頭蓋靭帯が切断され, 咽頭腔は開放されていた。 下気管切開を施行し気道を確保した後, 咽頭縫合と切断された筋の縫合を行った。 筋組織は挫滅が激しく, 正確な筋の同定は困難であった。 全身状態は順調に回復したが, 術後9日目の嚥下造影検査にて, 喉頭挙上が弱く誤嚥を認めた。 喉頭挙上障害の原因として, 舌骨上筋群は切断されていなかったが甲状舌骨筋が切断されていたこと, また外傷による炎症や循環不全により一時的な創部周囲の嚥下に関わる筋の機能不全が考えられた。 その後の嚥下訓練により嚥下機能は徐々に改善し, 術後約3ヵ月で問題なく常食摂取が可能となった。

     今回は嚥下機能改善手術を施行せず, 喉頭蓋軟骨と甲状軟骨の縫合により, 常食摂取可能となったが, 一期的に喉頭挙上術に準じて甲状軟骨と舌骨の連結縫合を併せて実施していれば, 術後の機能回復期間を早めることができたと考えた。

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