2020 年 63 巻 5 号 p. 242-246
認知症と味覚障害との関連についての研究は, 嗅覚障害に関する研究を比べて非常に少ない。 アルツハイマー病において, 味覚障害は生じないとする報告, 特定の味質のみの味覚が低下するとする報告, すべての味質の味覚が低下するとする報告などその結果もさまざまで, 一定の見解が得られていない。 味覚機能は加齢に伴い低下するものの, その感受性は個人差が大きいこと, また, 味覚機能の評価法が統一されていないため一貫性のある研究に繋がらないことなどが問題であり, 今後の研究の発展が期待される。