2021 年 64 巻 2 号 p. 113-117
頭頸部手術における組織再建にはさまざまな皮弁が用いられているが, 皮弁そのものに癌が発生したという報告は多くない。 今回, 中咽頭前壁癌に対して30年前に舌根部切除, 喉頭全摘術とともに大胸筋皮弁を用いた咽頭再建を施行した後, 皮弁に発癌を認めた1例を経験したので報告する。
症例は78歳, 男性。 嚥下時の違和感と体重減少を主訴に当院を受診した。 食道内視鏡検査にて咽頭再建皮弁に全周性の乳頭状病変を認めた。 組織生検の結果は扁平上皮乳頭腫であった。 計3回の腫瘤切除を行ったが, 通過障害がまったく改善しなかったため, 再建皮弁を摘出し, 欠損部を遊離空腸で再建した。 最終的な摘出標本での病理組織診断は疣贅状癌であった。 長期術後経過においては再建皮弁自体に二次癌が生じる可能性を忘れてはならない。