耳鼻咽喉科展望
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臨床
慢性化膿性中耳炎における検出菌の検討
木下 慎吾大崎 政海
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2021 年 64 巻 2 号 p. 77-84

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抄録

 2015年4月から2020年3月の5年間に, 上尾中央総合病院耳鼻いんこう科頭頸部外科を受診した慢性化膿性中耳炎例の検出菌の検討と, 感染制御の考察を行った。

 対象281例中235例で269株が同定され, 最多検出菌種は Staphylococcus aureus の115株で全体の42.7%を占めた。 次は真菌の37株13.8%で, 続いては Pseudomonas aeruginosa の32株11.9%であった。 Methicillin-resistant Staphylococcus aureus は28株で全体の10.4%を占めた。 難治性菌や真菌が検出され, 混合感染も認めるため, 治療が遷延する可能性が示唆された。 年齢別症例数は, 60歳以上が235例中177例75.3%で, 治療対象は高齢者が多くを占めた。

 薬剤感受性では, Methicillin-resistant Staphylococcus aureus に対してはアルベカシン, バンコマイシン, スルファメトキサゾール・トリメトプリムの感性が良好で, Pseudomonas aeruginosa に対しては, メロペネム, セフェピム, レボフロキサシンの感性が良好であった。

 慢性化した鼓膜穿孔は, 感染の反復や抗菌薬の耐性につながるため, 適切な感染制御法を選択し, 難治性菌の検出減少に取り組む必要があると考えられた。

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