耳鼻咽喉科展望
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原著
喉頭浮腫を反復し,短期間に合計3回気管切開を施行した遺伝性血管性浮腫(HAE)の1例
長岡 真人柳原 健一吉越 彬遠藤 誠森脇 宏人
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2024 年 67 巻 2 号 p. 79-84

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抄録

遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema: HAE)は顔面,四肢,消化器を含めた全身の様々な部位に急激な経過で浮腫を生じる常染色体優性遺伝疾患である.補体C1インヒビター(C1-INH)の欠損や機能低下が原因とされ,小児科,皮膚科,消化器内科,耳鼻咽喉科等,関連する科は多科に及ぶ.HAEは慢性的に発作を繰り返すことが多く,手足の腫脹や激しい腹痛,顔面浮腫を生じるが,中でも上気道の浮腫は致命的になり得るため,耳鼻咽喉・頭頸部外科医は認知する必要がある.HAEは認知度としては十分とは言えない疾患であるが極めて緊急性の高い疾患である.今回我々は,20歳男性で短期間に3度の喉頭浮腫を来し,合計3回気管切開を施行した重篤なHAEの1症例を経験した.若干の文献的な考察と啓蒙の目的を込めて報告する.

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