耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
難聴を主訴としたMelkersson-Rosenthal症候群の1例
國弘 幸伸大内 利昭小川 茂雄佐藤 彰芳原田 竜彦神崎 仁
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 33 巻 5 号 p. 409-417

詳細
抄録
完全型Melkersson-Rosentha1症候群の1例を報告した。
患者は44歳, 男性。1カ月来の右難聴を主訴として1989年3月31日に当科を受診した。初診時, 右鼓室内に滲出液の貯留が認められ, 純音聴力検査で右に中等度の混合性難聴が確認された。直ちに鼓膜切開術を行い, 滲出性中耳炎は治癒した。初診時, この他, 右側優位の上口唇の非対称性腫脹, 中等度の異常共同運動を伴う右陳旧性顔面神経麻痺, 溝状舌および上下歯肉の腫脹が認められた。またアナムネーゼで右側の反復性偏頭痛様発作および一過性の両側視力障害があったことも判明した。現在まで顔面腫脹の反復および顔面神経麻痺の再発は認められず, また上口唇の組織学的検索でも“cheilitis granulomatosa”の典型像は得られなかったが, 上述した臨床的特徴より, この症例はMelkersson-Rosenthal症候群の完全型であると考えられた。
筋電図学的所見および瞬目反射検査の結果を提示し, この症候群に伴う顔面神経麻痺の発症機序, 障害部位および治療等を中心に文献的考察を加えた。
著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top