耳鼻咽喉科展望
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33 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 鼻粘膜の異物透過性に与えるオゾンの影響について
    永倉 仁史
    1990 年 33 巻 5 号 p. 363-380
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    アレルギー疾患の有症率の増加と大気汚染との間に何らかの因果関係があることが疫学的に研究されて久しい。疫学的にこの大気汚染物質の一つとしてのオゾンがアレルギー性疾患を増加させる一因となっているということが報告されている。今回この機序解明の一つとしてオゾン暴露が鼻粘膜上皮の透過性にどのような影響を与えるか検討した。雄モルモットを用い1ppmのオゾンを1時間暴露し, 暴露終了直後・15分・30分・1時間・2時間・4時間後, 気管切開しトレーサーとしてHRPを鼻腔内に注入した。ついで注入直後・15分・30分・1時間後に鼻中隔粘膜を採取し, 試料を作製し光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて観察した。
    対照群においては小量のHRPの上皮細胞内への取り込みが認められたのに対し, オゾン暴露群においては大量のHRPが細胞内に取り込まれ, 細胞間隙にもHRPが侵入しており, tight junctionはleakyな状態を示した。そしてこの透過性の亢進はオゾン暴露終了2時間後まで認められた。これらの結果よりオゾン暴露による鼻粘膜上皮の透過性の亢進は, 生体を感作しやすい状態にしアレルギー疾患の増加の一因となっている可能性を明らかにした。
  • 西川 典秀, 武山 実, 阿瀬 雄治, 伊東 善哉, 古橋 靖夫, 草刈 潤, 中田 穗出美
    1990 年 33 巻 5 号 p. 381-390
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は白色モルモット40匹を用いて, 強大音 (2kHz, 100~130dB, 3分もしくは30分) のAPとCMの域値に対する効果が2kHzから16kHzの周波数で調べられた。概ね全ての周波数でAPにおける域値上昇はCMにおけるそれよりも大きかった。この所見は, 内有毛細胞と第1列外有毛細胞の不動毛の障害が永久聴力域値変動において最も感受性が高いとする, 他の研究者の形態学的報告を反映すると思われる。AP域値の最大上昇が大きくなる程, 域値上昇が最大である周波数は高くなってゆく。仮にTTSにおけるハーフオクターブシフトが基底板振動の非線型性を反映する現象であるとすると, 我々の結果は, 基底板に沿う進行波のエンベロープの最大偏位部位が刺激の増大に伴って, ハーフオクターブポイントを越えてアブミ骨側へ移ることを示唆する。
  • 平出 文久, 永瀬 茂代, 寺田 俊昌, 舩坂 宗太郎, 栫 博幸
    1990 年 33 巻 5 号 p. 391-396
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    6名の成人患者から手術時に採取した11個の鼻茸を用いて免疫組織学的に以下の物質の存在の有無を調べた。ケラチン, トランスフェリン, ラクトフェリン, フィブリノーゲン, リゾチーム, ビメンチン, 第8因子, EMA, S-100蛋白である。トランスフェリン, フィブリノーゲンおよび第8因子は鼻茸の上皮下組織に極めて多量に存在した。これは特に浮腫型で著明であった。これらの物質は血清蛋白なので, 血管透過性が充進して血清が組織内に漏出したものと思われる。S-100蛋白の存在をみると茎部を除いて鼻茸のどこにも神経線維は認められなかった。従って, 鼻茸は自律神経支配が欠けるために成長するものと考えた。
  • 頭頸部に発生した本邦症例の文献集計
    松井 和夫, 山根 仁, 五十嵐 淑晴, 鈴木 淳一
    1990 年 33 巻 5 号 p. 397-402
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは最近10歳男児の頸部に生じたCastlemanリンパ腫を経験した。われわれの経験した症例の病理所見はhyaline-vascular typeで本邦で頭頸部に発生した症例の80%を占めていた。
    Castlemanリンパ腫の発生部位は縦隔が最も多く, ついで頸部である。本邦においては頸部に発生した本症例の報告例は少ない。文献的には頸部発生の症例の報告は54例である。Castlemanリンパ腫の治療は外科的切除で, その予後は良好である。頭頸部腫瘤の診断上考慮すべき疾患である。
  • 尿素無効症例の検討
    関 守広, 奥野 秀次, 石田 博義, 石川 紀彦, 三宅 一範, 吉田 肇, 渡辺 動
    1990 年 33 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    メニエール病患者18名を対象として尿素と内リンパ嚢手術併用による治療を行い治療効果について検討した。
    1) AAOO (1972) の判定基準による結果。
    ClassAは3例 (17%), ClassBは9例 (50%), ClassCは2例 (11%), ClassDは4例 (22%) を示した。
    2) AAO-HNS (1980) の判定基準による結果。
    i) めまい: 定型的めまい発作に関しては, 完治は9例 (50%) 有効及びやや有効は8例 (44.5%) を示した。
    ii) 聴力: 聴力に関しては改善は4例 (22%), 不変は11例 (61%), 悪化は3例 (17%) を示した。
    以上の結果より尿素と内リンパ嚢手術併用による治療は, 頻発するめまい発作に有効な治療法である。
  • 國弘 幸伸, 大内 利昭, 小川 茂雄, 佐藤 彰芳, 原田 竜彦, 神崎 仁
    1990 年 33 巻 5 号 p. 409-417
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    完全型Melkersson-Rosentha1症候群の1例を報告した。
    患者は44歳, 男性。1カ月来の右難聴を主訴として1989年3月31日に当科を受診した。初診時, 右鼓室内に滲出液の貯留が認められ, 純音聴力検査で右に中等度の混合性難聴が確認された。直ちに鼓膜切開術を行い, 滲出性中耳炎は治癒した。初診時, この他, 右側優位の上口唇の非対称性腫脹, 中等度の異常共同運動を伴う右陳旧性顔面神経麻痺, 溝状舌および上下歯肉の腫脹が認められた。またアナムネーゼで右側の反復性偏頭痛様発作および一過性の両側視力障害があったことも判明した。現在まで顔面腫脹の反復および顔面神経麻痺の再発は認められず, また上口唇の組織学的検索でも“cheilitis granulomatosa”の典型像は得られなかったが, 上述した臨床的特徴より, この症例はMelkersson-Rosenthal症候群の完全型であると考えられた。
    筋電図学的所見および瞬目反射検査の結果を提示し, この症候群に伴う顔面神経麻痺の発症機序, 障害部位および治療等を中心に文献的考察を加えた。
  • 福永 一郎, 大崎 勝一郎, 波多野 篤, 深澤 元晴, 渡部 和世, 中村 和己, 木下 心, 鄭 鴻祥
    1990 年 33 巻 5 号 p. 419-426
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    滲出性中耳炎と診断された小児260例について臨床統計を行った。発症は幼児期早期と考えられた。患児は十分に愁訴を訴えることができず, おおむね家族が難聴に気付くか, スクリーニングをうけることによって病気が発見されることになる。しかし発症早期の耳痛や, 鼻漏や鼻閉といった鼻症状は, 重要な症状であり, しばしば訴えがみられる。
    純音聴力検査上滲出性中耳炎は満足には発見できない。ティンパノメトリーは滲出性中耳炎の診断に, より有用であると考えられた。加えて, 本論文中に, 予防医学上の問題点についても考察と提言を行った。
  • 高野 信也, 久木田 尚仁, 崎川 康彦, 安保 和俊, 中島 仁
    1990 年 33 巻 5 号 p. 427-432
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳下腺結核を2例経験したので多少の考察を加えて報告した。
    1) 症例1では結核菌が耳より侵入しリンパ行性に耳下腺リンパ節に至ったと考え, 症例2では扁桃, 鼻腔, 咽頭から菌が侵入してリンパ行性に頸部に至ったと考える。
    2) CT検査で腫瘤を思わせる所見が得られた。
    3) 症例2では超音波検査で腫瘍像として描出された。
    4) 家族歴に結核性疾患が存在する時は耳下腺結核も考慮に入れて治療を開始すべきと考える。
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