耳鼻咽喉科展望
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原点叩打法について
福田式遮眼書字法と原点叩打法の比較および解析
杉本 春美
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1991 年 34 巻 Supplement5 号 p. 371-381

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抄録

上肢偏椅検査法として, 当教室では, 福田式遮眼書字法と原点叩打法を, めまいの初診患者に施行してきた。原点叩打法は, 1968年当教室の加藤により考案された方法で, 座標原点を被験者が手に持ったボールペンで律動的に100回叩打し, 叩打点が集中しているものを正常, 他はその軌跡により, 線状移行型, 散乱性帯状移行型, 散乱型に分類するものである。
発症後1日から17日目までに来院し, 原点叩打法, 遮眼書字法及び他の平衡機能検査を施行し得た338例につき, 中枢性疾患と末梢性疾患に分類し, 両検査法を比較検討し以下の結果を得た。
1) 末槍性疾患では, 原点叩打法で線状移行型を示したものが78。0%, 遮眼書字法で偏椅型を示したものが12.8%であった。
2) 中枢性疾患では, 原点叩打法で散乱型を示すものが24.4%, 遮眼書字法で失調文字を示すものが4.9%であった。
3) 末槍性疾患例 (カロリックテストでCP陽性を示したもの) の偏僑方向を比較したところ, 原点叩打法で患側へ偏椅するものが60%で, 遮眼書字法で患側へ偏f奇するものは24%であった。
4) 末梢性疾患例の経時的変化を調べたところ, 原点叩打法では, 発症後3日目までは80~90%が異常を示し, 安定期に至るまでの各時期共, 原点叩打法の方が偏僑型の検出率が高かった。

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