耳鼻咽喉科展望
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片側性上顎洞陰影陽性症例の診断における細胞診の意義
江崎 史朗
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1993 年 36 巻 2 号 p. 133-141

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抄録

片側性上顎洞陰影陽性症例の診断は, 常に慢性副鼻腔炎と悪性腫瘍をはじめとする特殊性疾患との鑑別を念頭におき検討することが重要である。そこで, 日常臨床における診断の一助としてX線所見上で骨欠損の明らかでない片側上顎洞に陰影を認めた成人例90症例に上顎洞穿刺洗浄細胞診を行い, 本法の有用性ならびにその意義について検討した。
その結果, 上顎洞早期癌 (3例), アスペルギールス症 (2例) の診断を本法によりいち早く下しえた。上顎洞洗浄は, そもそも治療法の一つであり, その洗浄液を用いた細胞診は細胞像の特徴より悪性腫瘍細胞の診断を得るのみならず, アスペルギールス症の菌糸所見, シャルコールライデン結晶やヘルペスウィルスの感染細胞像など多彩な所見が明示されることが他の診断法では得られない利点であった。

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