1993 年 36 巻 2 号 p. 142-150
滲出性中耳炎は耳鼻咽喉科診療の中でも比較的多い疾患である。その治療法としては鼻処置, 鼻咽頭処置, 鼻ネブライザーを行いつつ耳管通気が行われ, 滲出液の残存する症例に対しては外科的治療法として鼓室穿刺, 鼓膜切開, 鼓室チューブ留置術などが行われている。しかし, 各々の治療法もその効果持続時間に制限があり対症療法といわざるをえず, 個々の症例を完治までもっていくには長時間を要する。そこで著者は鼓膜切開の後, 滲出液を吸引し, 切開後の穿孔より鼓膜穿刺針を用いてステロイド (デカドロン ® 0.5cc) を鼓室内に注入する方法を行っているので, その治療成績を報告する。