耳鼻咽喉科展望
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頸部リンパ節摘出生検の臨床的検討
加知 賢次郎櫻井 尚夫高山 孝治石塚 洋一
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1993 年 36 巻 2 号 p. 158-165

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抄録
頸部リンパ節摘出生検を行った38例について統計的, 臨床的, 病理組織学的に検討し, 診断困難であった4症例 (亜急性壊死性リンパ節炎1例, 転移性リンパ節1例, 悪性リンパ腫2例) について報告した。
38例の内訳は非腫瘍性病変は15例 (39%) で, 疾患別に見ると単純性リンパ節炎8例, リンパ節結核5例, 亜急性壊死性リンパ節炎2例, 腫瘍性病変は23例 (61%) で, 疾患別では悪性リンパ腫6例, 転移性リンパ節17例である。
亜急性壊死性リンパ節炎と悪性リンパ腫の鑑別には, 詳細な病理組織学的検討が必要である。転移性リンパ節と診断され, 原発巣が不明の症例には長期的な経過観察が重要である。抗生剤, 消炎剤による治療に抵抗し, リンパ節腫脹の軽減を認めない時は, 積極的にリンパ節摘出生検を行うことが肝要と思われる。
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