1993 年 36 巻 5 号 p. 663-669
口腔粘膜領域を照射野に含む頭頸部悪性腫瘍患者23例に, 放射線治療時アンサー ® 20注を併用した。目的は放射線口内炎の予防である。評価は口腔粘膜の自覚・他覚症状と白血球数とその減少率で行った。
結果は口腔粘膜の他覚所見では, 1度発生71%, II度発生52%, III度発生14%, IV度発生5%であり, 1度発生の50%出現照射量は22.8Gyであった。自覚所見では1度発生67%, II度発生33%, III度発生10%であった。1度発生の50%照射線量は23.9Gyであった。白血球数の最下限から検討すると白血球数6,000/mm3以上維持できた群では粘膜障害が軽度であった。白血球減少率による評価では有効率86.4%であった。
以上よりアンサー ® 20注の投与は, 放射線治療時, 特に口腔粘膜領域を含む照射野において, 白血球減少の予防および放射線口内炎の予防に有用であった。放射線口内炎の発現頻度と程度は, 白血球数と逆相関がみられ, 放射線口内炎の予防には積極的に白血球減少防止に努めることが有用と思われた。