耳鼻咽喉科展望
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鼻副鼻腔手術後の鎮痛効果を期待して試作したガーゼタンポン (第1報)
タンポン素材と塗布する軟膏の検討
菊池 康隆内田 豊三谷 浩樹小島 博己白沢 昭弘中島 庸也滝口 清徳並木 徳之
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1994 年 37 巻 4 号 p. 438-448

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抄録

従来, 鼻副鼻腔の手術の際, 術後の止血及び感染予防を目的として使用してきた硫酸ジベカシンガーゼタンポンにさらに非ステロイド性抗炎症鎮痛剤ウフェナマートを配合した硫酸ジベカシンウフェナマートガーゼタンポンを新製剤として試作した。そして, この新しいガーゼタンポンを用いることにより期待される術後の鎮痛効果について臨床的に検討を加えた。その結果副鼻腔根本手術例のタンポン挿入期間および鼻中隔矯正術後のタンポン抜去時においては一応の有用性は認められたものの篩骨洞鼻内手術後, 鼻中隔矯正術後のガーゼ挿入期間の鎮痛効果については必ずしも充分とはいえなかった。今後ウフェナマート軟膏を増量することでより確実な鎮痛効果が得られるものと思われる。一方, ウフェナマート軟膏の増量により予想される硫酸ジベカシンの放出率の低下は, 軟膏基剤の工夫やタンポン素材の選択により改善しうることが示唆された。

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