耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
段階的鼓室形成術におけるシリコン板使用の効果
横田 雅司青柳 優
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 38 巻 4 号 p. 467-475

詳細
抄録

段階的鼓室形成術におけるシリコン板の有用性を明らかにするため, 1977年から1993年に段階的鼓室形成術が行われた135例を以下の3法に分けて検討した。1次手術の際癒着防止の方策をとらなかったものをA法 (43例), シリコン板を畳まずに使用したものをB法 (32例), 2っ析にしたシリコン板を鼓室から乳突腔にかけて挿入したものをC法 (60例) として, 2次手術の所見についてそれぞれを比較検討した。
その結果, 鼓室内肉芽はC法で最も少なく (6.5%), A法で65.2%, B法で43.8% の症例に見られた。また, 上鼓室ブロックもC法が最も少なく (10.9%), A法78.3%, B法47.8% であった。さらに術後の聴力改善もA法, B法に比べてC法が良好であった。以上より, 2つ折にしたシリコン板は畳まないものに比べて, 鼓膜の癒着および鼓室や乳突腔における線維組織の増殖の防止に対してより有用であると考えた。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top