抄録
甲状腺分化癌の濾胞癌と乳頭癌は, ともに頻度が高いがこれらの合併は比較的稀である。
今回われわれは, 54歳, 女性の合併例を経験した。シンチグラフィー, CT, MRIなどの画像による術前の合併の診断は, 困難であった。また, 約20年前に濾胞癌手術の既応歴があったが, 病理組織学的所見からは今回の濾胞癌は, 新たに発生した可能性が高いと考えられた。
稀ではあるが, 合併の可能性も念頭において診断および治療にあたることが肝要であると思われる。特に, 合併例では血行性およびリンパ行性転移の精査と厳重なフォローアップが必要である。