耳鼻咽喉科展望
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蒸気吸入療法の加湿能
モデル実験による解析
国部 勇浅野目 充野中 聡海野 徳二
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1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 97-101

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抄録
近年, ウイルス感染に伴う急性鼻炎やアレルギー性鼻炎に対する治療法の一つとして蒸気吸入療法が注目されている。我々はこの療法に用いられる吸入器がどのような加湿能を持つのか検討するためモデル実験を試みた。蒸気吸入器はEisai社製のスカイナースチームII ® を用いた。上気道モデルとしてビニールパイプ (内径2.5cm) を用い, 加湿能はパイプ管中の各部に取りつけたディスクに沈着する水分量として評価した。パイプの一端に蒸気吸入器を取り付け, パイプの形状や吸引負荷などの条件を変化させてモデル内の各部位に沈着する水分量を比較した。沈着量は吸入器からの距離が大きくなるほど減少し, モデルが屈曲することにより屈曲部以降の部位で減少した。また, 超音波ネブライザー (オムロン社製NEU 11B) と比較すると蒸気吸入器の方が沈着量が多く加湿能が高いが, 上気道のような屈曲の強い管腔では部位により加湿能が低下する可能性も示唆された。
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