耳鼻咽喉科展望
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耳下腺内神経原性腫瘍の3症例
三谷 浩樹中溝 宗永鎌田 信悦
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1996 年 39 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

耳下腺内神経原性腫瘍3例を報告した。
2例は神経鞘腫, 1例は神経線維腫であった。本邦では現在までに40例程度報告されており, 耳下腺腫瘍における発生頻度は0-3-4%とされている。当科においては19年間の手術症例413例中3例で0, 7%であった。通常は無症候性腫脹を示し, CTや細胞診に特別な所見がなく, 術後神経脱落症状や病理組織学的検索から診断される。このように耳下腺内神経原性腫瘍の術前診断は一般に困難であり, 比較的珍しい腫瘍と考えられてきたが, 現実には決して稀なものではなく, 我々耳鼻咽喉科医が耳下腺腫瘍摘出術を施行する際には, このような症例の存在も念頭におき, 顔面神経との関連を十分に考慮して処理する必要があると思われた。

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