耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
木村病の2症例
治療に対する考察
白幡 雄一関 博之小林 直樹白沢 昭弘荒井 秀一
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 39 巻 3 号 p. 262-266

詳細
抄録

43歳男性と56歳男性ともに頭頸部に発症した2例の軟部好酸球肉芽腫症 (木村病) の症例を報告した。これらの症例は減量手術後にスデロイドとトラニラストの併用薬物療法を行い, 術後の経過に良好な印象を得た。木村病は再発はあるが, 悪性化した報告はなく, 難治だが極めて予後良好な疾患である。症状は腫瘤形成以外ほとんどないのが特徴であるので, おもに整容的な立場から治療計画がなされるべきである。本症に行い成功を治めたごとく, 減量手術を加えた後にステロイドとトラニラストの併用薬物療法を行い, 治療効果判定の目安として好酸球と血清IgEの動態をみながら経過観察することは難治な本症の価値ある治療法の一つであると考えた。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top