抄録
甲状腺癌切除後の気管壁再建では, 再建された枠組みの物性が重要で, 気道としての腔を確保するための硬度と, 外力に耐える弾力性とを兼ね備えている必要がある。そのためには気管端々吻合が理想的ではあるが, 欠損幅が少なくその必要のないものや, 欠損が長すぎて縫合部過緊張の危険のあるものでは, 二次的再建法が行われる。これにもいろいろな方法が報告されているので, 文献的に調査し, 著者の経験例を含めて検討した。側壁は肋骨などの強固なもので充分な高まりを造る一方, 前壁は弾力性のある耳介軟骨が適切であることを強調した。