耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
マクロライド療法に対する有効例と無効例の免疫組織化学的検討
石戸谷 淳一小口 直彦王 娜亜鳥山 稔
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 41-45

詳細
抄録

慢性副鼻腔炎でもマクロライド療法によく反応する症例と反応しない症例がある。そこで, マクロライド療法が有効であった慢性副鼻腔炎 (有効例) と, その効果が明らかではなかった慢性副鼻腔炎 (無効例) の鼻茸を材料として, 組織学的に比較した。好酸球浸潤は有効例, 無効例いずれにもみられたが, 浸潤好酸球の数は有効例より無効例で著明であった。無効例の好酸球はEG1, EG2いずれの抗体でも染色され, 鼻茸中の多くの血管は抗VCAM-1抗体で染色された。有効例の好酸球はEG2抗体による染色性は低く, 鼻茸中の血管はVCAM-1よりゆもICAM-1を多く発現していた。それゆえ有効例と無効例では, 炎症性細胞や細胞接着分子について異なった炎症反応の特徴を示し, これらの相違がマクロライド療法に対する効果に差を生じる一因であると考えられた。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top